読みもの / 考え方
「こう食べなさい」と、
言わない理由
私たちがこのアプリを作ったのは、あなた自身の日常生活を、見直す機会にしてほしかったからです。 だから、ああした方がいい、こうした方がいいとは言いません。
栄養アプリに助言を期待して来た方には、物足りないかもしれません。 それでも言わないと決めているので、その理由を4つ、正直に書きます。 (画面に出る「できること」を指示だと思われないよう、その位置づけも最後に書きました。)
断定できないことを、断定することになるから
栄養のデータには、非対称があります。
摂りすぎは、言い切れます。低く見積もっても基準を超えていれば、確実に超えているからです。 だからこのアプリは、超過については言い切ります。
でも、不足は言い切れません。記録もれなのか、本当に足りていないのかを、 私たちには区別できないからです。
ここで「もっと摂りなさい」と言い切ると、記録が抜けているだけの人に嘘をつくことになります。 だから不足は、「足りていません」と断定せず、 どこまで測れたのかを添えて書きます。
実際の書き方
・超過 … 言い切る(「食塩相当量が目標を超えています」)
・不足 … 「目標に届きませんでした(成分表に照合できた食事から算出)」
=測れた分だけの数字であることを、その場に書く
・1日の変動では決めつけない。週・月の蓄積で見る
「あなたが何を食べるべきか」には、出どころが無いから
このアプリの数字は、どこから来たかを全部お見せできます。 食品成分表(八訂)の何番の品目か、外食チェーンが公表している値か、パッケージのラベルを読んだ値か。 品目ごとに、出典と取得日まで開きます。
でも、「あなたが何を食べるべきか」の出どころは、どこにもありません。
献立を提案しようとすると、なぜその献立が"あなたにとって"最適なのかを、 私たちが持っている出典からは導けません。 導けないものを出せば、いちばん確からしくない推定を、いちばん確からしい顔で出すことになります。
数字の出どころを見せることを続けたいので、出どころの無いものは出しません。
「こう食べなさい」は、専門職が行うべきことだから
個別の食事の指導は、専門の医師や看護師、管理栄養士が行うべきことだと考えています。 体調も、持病も、薬も、私たちには分かりません。
健康に影響することだからといって、あなたにこうしなさいと表現したり、決めつけることもしません。 本サービスは一般的な食生活情報の提供であり、診断・治療ではありません。
ここだけでは、分からないことがあるから
体重とカロリーの関係も同じです。 あなたはこのアプリの外でも食べ、歩き、運動し、眠っています。
記録されたぶんだけを見て「このままなら◯kg減ります」と言い切るのは、 見えていない部分を無かったことにするのと同じです。
ここだけでは、分からないことがあります。
だから予測は、外れうる前提の幅として出します。断定はしません。
では、何をお渡しするのか
あなたが記録したことを整理して、お渡しします。何を、どれだけ食べているのか。 そして、その数字がどこから来たのか。
| やらないこと | やること |
|---|---|
| 「◯◯を食べなさい」「◯◯を減らしなさい」 | 食べた物を名指しで、数字と出典を添えて見せる |
| 不足を断定する | 超過は言い切る。不足は測れた範囲を添えて書く |
| 献立を提案する | 食べた献立が、どうだったかを見せる |
| 1日の変動で決めつける | 週・月の蓄積で言う |
アドバイスは、しません。 あなた自身が健康を判断するための材料と、その根拠をお渡しします。
画面に出る「できること」について
ふりかえりには「できること」という欄があります。 たとえば食塩が多かった週なら、こう出ます。
「ラーメンのスープは1杯だけで5〜8gあります。
汁物・漬物・佃煮・加工肉は、食塩が集まりやすい品目です。」
これはあなたへの指示ではありません。事例です。 世の中に知られている数字を並べて、やろうと思えばどこを動かせるのかを見えるようにしているだけで、 あなたがそうすべきだとは言っていません。
スープを飲むのも、飲まないのも、そのままでいるのも、選ぶのはあなたです。 こちらは、選ぶときに必要な数字を置いておくだけです。
健康に生きるということは、
あなた自身の判断で
進めるものだと、
私たちは考えています。
参照した公的データ: 日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年・文部科学省/ 日本人の食事摂取基準(2025年版)・厚生労働省
アプリ内では、品目ごとにその数字の出典・版・取得日を開けます(データと根拠)。